月の庭

読書の記録と進捗メモ

火花

今更なのでしょうが、ようやく読みました。

本は基本図書室で借りるので、流行っているものはなかなか借りづらいのです。

しかも、図書室の仕事を手伝っているもので、借りる方が続いているうちは、遠慮してしまいます。

 

さて又吉直樹さん作の「火花」についてです。

 

売れない芸人徳永を視点に、彼が憧れる先輩芸人の神谷について、語られていきます。

必要最低限の登場人物で、この二人の有り様が面々と綴られます。

芸人である又吉さんでなければ描くことのできない世界だなと思いました。

そういう世界に足を踏み入れたことのない人がうかつに手を出したら、もし同じような作品を書き上げたとしても、どこか嘘くさくなってしまうのでしょうね。

書くべき人が書くべきことを書いた作品なのだな、と感じました。

でも、芸人さんがこれを書くのって、意外と勇気がいるのではないでしょうか。

この作品を読んでしまうと、漫才を見ても軽い気分で笑えなくなってしまいそうです。

「あんなくっだらないことを、命かけてやってるんだぜ、この人たち……」って思ってしまいます。

いや、それってかっこいいんだけど、漫才師って笑われてなんぼでしょうしね。

ですから、漫才を見るときはこれからもこの作品のことは忘れて、無責任に笑っていようと思います。ええ、きっとそれが正しい観客なのでしょうから。

火花 (文春文庫)

火花 (文春文庫)

 

 少し残念に思うのは、ラストをまとめすぎた感があることでしょうか。

若手漫才師の切りっぱなしの日常みたいなものでも十分だったような気がします。